すみませんすみません

イングガ様のお題があったかくて、すっごくすてきだなって思ってたんです。

その上、よそのサイト様でそのお題で書かれたすばらしい小説見たら、もう書かずにはいられないんです。

以上、言い訳でした。
というわけで、イングガ様のイタリアお題の１．「おいしい」で小説書いちゃいました。

明日テストなのに、漫画も感想もUPせずに、小説って…。

日と独と伊のおはなしです。

い、いちおうイタリア視点なんだけど、…にせもの、です。

おちなしいみなしやまなし、大の得意です。

広い心の方のみ読んでやってください。

おいしい

 

かちゃり。

かちゃかちゃ。

フォークと皿がこすれあう、金属のつめたい音だけが、広いリビングに響く。

ドイツも、日本も、俺の作った食事（パスタだけど）を黙々とたべてる。

 

「…」

「…」

「…（静かすぎー）」

 

会話が無いから、ほんとに静か。みんな無言。

今日は、連合国との戦いがほんのちょっとだけど落ち着いたから、みんなで集まった。

作戦会議とはいえ、俺、すっごくがんばって料理作ったんだよ。イタリア家の定番、トマトパスタ。

自分で言うのもなんだけど、今回は特においしくできたと思う。

なのに、こんなにおもくるしい空気の中で食事、なんて。

ぜんっぜん楽しくないし、つまんない。

けど、二人ともなんだか話したくなさそうだし、俺だけはしゃぐのも、なんかなぁ、って思うから、黙ってる。

 

「…」

「…」

「…（ひまだなー）」

 

それにしても、別にドイツたちとけんかしたわけじゃないのに、こんなに静かなのは珍しいなぁ。

にこりともしない二人見てると、こっちまでむすっとした顔になっちゃうよ。

そりゃぁ俺たち最近負け続きだし、雰囲気が自然と重くなっちゃうのも、分かるよ。

でも、なんだか、こういう風にたべるパスタって…

「おいしくないなー」

 

ぽつり、とつぶやいたらドイツも日本も手を止めてこっちを見た。

二人とも目を丸くしてすっごくびっくりしてた。

日本はただただびっくりしてて、ドイツはいぶかしげな顔してた。（え、ちょっとしつれいだよね）

まぁ確かに、俺がパスタおいしくないって言うことなんてめったにないことは認める…。

 

「だ、だってさぁこんなに怖い顔してみんなで食べたって、おいしくないよ。食事はみんなで楽しくするものでしょ？」

 

へらり、と笑ったら、ドイツは更に眉間にしわを寄せた。日本は苦笑いしてた。

 

「…、それも、そう、ですかね」

「そうだよー陽気にいかないとね。こんな風に深刻に考えてたら余計だめになりそうだよ。こんなんじゃ勝てる戦いも勝てないって感じ」

「…お前はのんきすぎるんだ。ちょっとはこの戦況を真面目に考えろ」

「ドイツ頭かたいなー。いいじゃんか！日本のことわざでもあるでしょー。腹が減っては～…、」

「戦はできぬ、ですね」

「そうそうそれー」

「…？別に食事はしてるんだから問題ないだろうが」

「もーそうじゃなくてー」

 

こういうのは食事っていわないんだよー！

おなかいっぱいになるってことは、みんなと楽しく、パスタを食べて、心も体も満たされるって感じなんだからさ、こんなんじゃだめなんだよ！

そうは言ってみたものの、言ってる俺もよくわかんなくなってきたくらいだから、ドイツはもうさっぱり訳がわからないみたいだった。

何を言っても、どちらも同じだろう、の一点張り。

日本はなんとなく分かってくれてたみたいだけど、こちらは、なんと言うべきか分からないみたいで、パスタとドイツと俺の顔を困ったように見てた。

くそぅ、口じゃぁドイツにかなわないよー。

悔しかったけど、俺は口をもごもごとさせるしかなかった。

しかたないから溜息をついた。

んで、ちらりとドイツを見て、『ドイツのまね』って言った。怒られた。

ドイツの小言を耳にしつつも、まぁ、とりあえず、パスタをひとまき、ふたまき、してみる。

それを口に含んで、偉そうに一言。

 

「…ドイツはさぁ、そういうところがだめなんだよな～」

「はぁ？」

 

笑いながら『フランス兄ちゃんのまね』って言った。今度は殴られた。

あったかい空気がはじけて、日本も俺につられて笑ってくれた。
ほおりこんだパスタの味は、さっきの何倍もおいしくて、口いっぱいに広がった。